下北沢成徳が強すぎる!【ジャパネット杯 春の高校バレー 2019】
今年も強豪校が順調に勝ち上がる!石川真佑は有終の美を飾れるか!?
春高はあの頃の春高ではない!?
今年も涙無しには見られない春高バレーが開幕しました。
今回の大会で1月開催になってからはや9年となります。
昨年の女子の優勝は大阪の名門金蘭会。準優勝は大分のこちらも名門東九州龍谷。
さて今年はいったいどこの高校が優勝するでしょうか。
年明け早々胸が高まる試合の連続にわくわくが止まりません。
さて先述した通り、2010年以前にはその名の通り春に開催されていた春高バレーは、2011年から1月開催となっています。
そして厳密に言うと春高バレーと呼ばれる対象の大会もそのタイミングで変わっています。
呼び名こそ同じ春高バレーとなっていますが正式名称は全く別のもの。
以前は
が通称春高バレーでしたが、今では
が春高バレーと呼ばれています。
1月開催になった理由は色々あるようですが、3年生でも出場できる大会にしたいというのが大きい理由の一つだったようです。
確かに3月開催であれば3年生の出場はできません。
そして春開催の当時は1、2年しか出場していなかったわけですが、最上級生であった2年生たちにとって春高バレーは最後の大会ではなかったわけです。
そのあとも部活動は続いていくわけですからね。
ある意味で最高のパフォーマンスではなくまだまだ成長過程の選手たちの大会だったのです。
それを1月開催にすることで、卒業前の3年生たちの出場が叶うようになりました。
もちろん受験を控える大切な時期ですし、1月大会への出場は諦めて先に引退している子たちも多くいますが、そういった子が春高の応援席から大きな声援を送っている姿は見ていると胸に迫るものがあります。
ここ何年か試合を見て、その後のインタビューを見るたびに泣けてしまうのは、やはり3年生たちにとって本当に最後の大会だという意気込みが伝わってくるからで、大会のレベルのアップも含めて1月開催にしたのは大正解だったのではないかと私は思っています。
3年間の集大成。
眩しいプレーの数々。
あれから2年。衝撃デビューの1年生だった石川真佑はキャプテンに。
今では全日本のウィングスパイカーとして活躍している黒後愛選手が3年生としてエースとして君臨していた2017年の下北沢成徳高校。
そのチームで1年生ながらレギュラーに定着し、春高二連覇を決めた2017年の大会決勝ではエースの黒後愛以上の活躍を見せたのが石川真佑選手でした。
もはや説明するまでもありませんが、石川選手は男子の日本代表エースでもある石川祐希選手の妹さん。
兄に負けず劣らずのバレーセンスがあることを全国に証明して見せた大会となりました。
黒後愛選手が卒業するときには「あなたがエースだからね」と声をかけられ、その通り二年生になった石川選手は名実ともに下北沢成徳のエースとなったのです。
しかし三連覇のかかった昨年の大会ではベスト4まで順調に勝ち進んだものの、その大会で優勝することになるスーパー1年生宮部愛芽世選手を擁する大阪金蘭会に破れてしまいます。
流れる大粒の涙をタオルで何度も何度も拭いながら答えたインタビューを私はまだはっきりと覚えています。
「最後に(トスが)上がってくるのは自分だとわかっていて...そこで決めきるのが本当のエースだと思いました」
そしてこう言ったのです。
「また来年必ず。センターコートで次は勝てるように頑張ります」
(ああおじさん思い出しただけで泣きそうです。)
出典:Vollyball Channnel
石川選手が初めて春高の舞台に立ったとき、同じチームのエースだった黒後愛選手がつけていたのは背番号4。
これはキャプテンナンバーです。
そして今年。
石川真佑選手はそのキャプテンナンバーをつけて春高の舞台に帰ってきました。
エースを除いても強い今年の下北沢成徳バレー
下北沢成徳は1/8現在の時点で3試合を終えています。
3試合とも圧倒的な強さでストレート勝ちを収め、順調にベスト8へ勝ち進みました。
しかしそんな強いチームのエース石川選手ですが正直まだ本調子ではないというのが3試合を見終わっての印象。
ただそれでも強い今年の下北沢成徳。
石川選手以外の選手たちがとても素晴らしい活躍で、エースが調子が上がらずともセッターの髙橋選手がトスを散らして他でどんどん点を取ってます。
そんなわけでコートにいるどの選手もいいのですが、思わず感嘆の声をあげてしまったのが背番号3の仁井田桃子選手。
この選手はとにかく速い。
動きが速いというよりジャンプしてからスパイクを打ち込むまでの時間がとても短く、そのスピードに相手のブロックもレシーブも反応しきれていない印象です。
その秘密はスパイク時の腕の振りの速さにあります。
オープントスを打ち切るのが成徳スタイルとも言われる中にあって、確かに多少平行気味のトスとはいえまるでクイックのようなタイミングで打ち込まれるスパイクは相手にとっては脅威でしょう。
あのスピード。角度。
見てて気持ちがいい!!!
そしてスターティングメンバ―で唯一の2年生である宮地佳乃選手。
あっちにこっちに顔を出して鋭いスパイクを決める様は解説だった大山加奈さんの言葉を借りるのであればまるで忍者のよう。
あんな頼れる後輩がいる上級生たちはすごく心強いでしょうね。
石川選手が一年生のときには彼女がスパイクを決めるごとにチームが盛り上がりましたが、宮地選手が決めたときもやはり同じように盛り上がります。
最年少パワーの躍動はこちらもやっぱり気持ちいい!!!
さらにさらにブロックまで強い下北沢成徳。
中央にはチーム最高身長180cmの大﨑琴未選手がどんと構えます。
平均身長はなんと175.8cm。
いやぁ高い。
そして高さだけじゃなくて、彼女たちはブロックもうまい。
どうやらかなり体幹を鍛えてきているようで、どの選手も軸がぶれずに強力なブロックができています。
シャットアウトはもちろんワンタッチからうまく攻撃につなげて次々と連続ポイントを重ねるバレーは二連覇を成し遂げたあの2年前のチームを超えているようにも見えるのです。
この体幹の強さはレシーブが乱れて2段トスになった場合にもいかんなく発揮されています。
ジャンプしても軸がぶれないので、多少トスが悪くても強いボールで相手コートにボールを返せます。
野呂加南子選手なんかはほぼ後ろから上がってきたようなトスなのにしっかり前に打ち込んでポイント取っていましたから。
高校生でこのレベルでバレーボールやられるときついでしょう。
野呂選手はバレーボールセンスの塊みたいな子ですね。
そしてリベロの依田茉衣子選手と山﨑樹選手のディフェンス力も素晴らしい。
特に依田選手は目立たないところで再三にわたってチームを盛り上げていますね。
レシーブあっての攻撃ですから、彼女たち二人の背負う役割は大変大きいものです。
そんなタレント揃いの下北沢成徳の司令塔がセッターの髙橋千穂選手。
先ほども書いたようにオープンを打ち抜くのが成徳スタイルという中にあって、様々なタイプの選手に見事なトスを合わせる技術はかなり高いと思います。
特に印象的なのが平行気味のバックトス。
どの選手ともコンビがばっちり合っています。
どこからでも点が取れるのはやはり髙橋選手のトスの質が高いからでしょう。
いやぁとにかく強いぞ今年の成徳は!
本当のエースになれるのか
ただいくら強いチームだからと言って、エースの活躍を抜きにして優勝はかなわないでしょう。
2試合完璧だったとは言えない石川真佑選手もさらにギアを上げていかなければならないところ。
準決勝からは相手のレベルも一気に上がります。
前年度準優勝校であり、春高最多優勝、そして五連覇の記録を持つ最強チーム東九州龍谷との一戦です。
超高校級セッター園田風音選手を筆頭に、昨年も大活躍だった合屋咲希選手。
ミドルには183cmの荒木選手がいて、さらにスーパールーキー1年生の室岡莉乃選手。
室岡選手は東龍OGであり現デンソーエアリービーズの鍋谷友理枝選手以来の逸材だと言われていて、162cmながら最高到達点は297cm!?
同じく東龍で昨年のエースだった中川美柚選手の最高到達点が311cm。
ただ中川選手は183cmありましたからね。
室岡選手もかなり楽しみな選手です。
来年はきっと東龍推しに戻ります。笑
そうなんです。実は私は鍋谷選手の時代から東九州龍谷が好きなチームNo.1なのですが、やはり今年は一年生のときから応援してきた石川真佑選手の最後の大会ですし、どうしても気持ちが下北沢成徳に傾いているのです。
悔し涙を流し「本当のエース」という言葉を口にしたあの日から1年。
石川真佑選手はそうなれるのか。
なれる素質は十分にあるし、ならなければいけない選手だと思います。
それでもやっぱり高校生。
そして春高バレーという舞台。
毎試合が大きなプレッシャーと戦いながらの試合ですし、相手だってみんな同じ気持ちで本気でバレーボールに向き合ってきた選手ばかりですからいくら願ってもかなわないことだってあるでしょう。
どんな結果が出ても悔いの残らない試合になるように、まずは準決勝。
素晴らしい試合を見せてくれることを期待しています。
......でもやっぱり石川真佑選手の嬉し涙が見たい!